エンゼルフィッシュの飼育方法-初心者向けの繁殖方法などを解説
縦に長い体型が特徴的なエンゼルフィッシュ。水の中をまるで天使(Angel)のようにゆったりと泳ぐ姿が名前の由来となっています。 飼育自体はそこまで難しくありませんが、まるでどこかの神話のように同居魚に牙をむくどう猛な一面も持っています。
基本データ
名称 | エンゼルフィッシュ |
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学名 | Pterophyllum |
分類 | シクリッドグループ |
体長(成魚) | 13cm |
寿命 | 5年程度 |
飼育環境・飼育難易度 | |
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飼育温度 | 26℃前後 |
飼育水 | pH6.5 |
市場価格 | 300~1,500円 |
総合飼育難易度 | ★★☆☆☆ |
おすすめの飼育用品
水槽は60cm以上のロータイプ以外を選ぶ
ショップで売られているエンゼルフィッシュの多くは、500円玉くらいのサイズが多いですが、最終的に体長10㎝を超えるまで成長します。イメージとしては人の手のひらより一回り小さいくらいです。
そのため、終生飼育を考えた場合60cm規格以上のサイズが必要になります。
エンゼルフィッシュは、魚の仲間には珍しく、横ではなく縦に長いサイズなので、幅の他に一定の高さを必要とします。幅だけに注目してしまい、間違ってロータイプの水槽を購入しないように気を付けましょう。
底砂は大磯砂またはソイルがおすすめ
エンゼルフィッシュの飼育において、特定の機能や性質をもった底砂の導入は必要ありません。そのため、汎用的かつ半永久的に使用できる大磯砂の導入がお勧めです。
ただし、大磯砂には貝殻等のpHを変化させる異物が入っているものがあるので、貝殻等処理済みのものを購入するか、自身でしっかりと処理をしてから使うようにしましょう。
また、エンゼルフィッシュと同時に水草を飼育しようとする場合には、水草が根を張りやすいソイルを用いるのがお勧めです。特にエンゼルフィッシュの繁殖に挑戦する場合は、水草が産卵場所となりますので、必須と言えるでしょう。
フィルターのおすすめは上部フィルター
エンゼルフィッシュは、縦に長い体形からあまり泳ぐのが得意ではなく、原産地でも流れの緩やかな場所に生息しています。そのため、水槽内に強い水流を発生させるフィルターの導入に向いていません。
そこでおすすめなのが、上部フィルターです。このフィルターは基本的に「水を吸い上げる→落下させる」という上下の水流を部分的に発生させるだけなので、エンゼルフィッシュにとって優しい環境を作ってあげることができます。
強い水流を生まないフィルターには、他にも外掛け式やスポンジフィルターがありますが、エンゼルは意外と大食漢なので、ろ過能力不足となりやすくおすすめできません。
餌は一般的な人工飼料でOK
エンゼルフィッシュは肉食魚のため動物性の餌(赤虫、イトミミズ等)を好んで食べます。しかし、人工飼料の食いも良く、特に何もしなくても水槽に飼料を入れれば初見でも食いついてきます。費用や保存性、衛生面の観点から、始めから人工飼料での飼育がお勧めです。
エンゼルフィッシュ専用として販売している餌もありますが、特にこだわる必要はなく、一般的な熱帯魚用の餌(フレーク状など沈まないタイプ)であれば問題ありません。
混泳について
同種との混泳 | △(可能) |
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他種との混泳 | △(可能) |
エンゼルフィッシュは獰猛なことで有名なシクリッドの仲間であり、性格はややきつめです。そのため、複数飼育をすると、同種間で小競り合いが発生する可能性がありますが、ゆったりとしか泳げないことが幸いし、相手に致命傷を与えるほどの大喧嘩になることはあまり多くありません。水草を多めに植えるなど、逃げ場を確保できるようレイアウトを工夫すれば複数飼育は十分に可能です。
他種に対してはあまり関心を向けないため、多くの種と混泳が可能ですが、成魚は10cmを超えるうえ肉食性が強いので、あまり小型の種は食べられてしまいます。グッピーやネオンテトラ、オトシンクルスなど、目安として5cmを越えない熱帯魚とは混泳させないようにしましょう。
また、スマトラという熱帯魚は、エンゼルフィッシュのひらひらしたヒレをかじりにいく性質を持っており、同種との混泳は禁忌とされていますので注意しましょう。
繁殖方法
飼育下での繁殖 | ○(容易) |
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エンゼルフィッシュの繁殖は比較的難易度が低く、初心者がブリーディングに挑戦するにはもってこいの種と言われています。性成熟は生後1年くらいで完了しますので、飼育後1年をめどに以下の手順で挑戦を開始しましょう。
オスとメスを一緒の水槽に入れる
タイナンブルーエンゼルとエンゼルフィッシュのペア
まずはオス・メス(ショップでしっかり確認!)を何匹か同じ水槽に入れ、様子を見ます。しばらくするとペアが成立(常に寄り添って泳いでいる)した個体が出てくるはずです。カップル成立後は、可能であれば他の個体は別水槽に移してあげるとより成功率は上がります。(以上の手間が惜しいという場合には、既にペア成立済みの個体をショップで購入すると便利です。ただし、いつでも買えるとは限りませんし、値段は相応に上がってしまいます。)
水草に卵が産み付けられていないか確認する
その後水槽内の環境が安定していれば、しばらくして産卵を始めるはずです。卵は水草に産み付けることが多いので、水槽内に水草は必ず入れてあげてください。また、稚魚の孵化後に備え、事前にフォルターの吸い込み口にはスポンジを装着しておくことも忘れないようにしましょう。
ちなみに、エンゼルフィッシュは卵の世話をすることが知られていて、卵に向かって水を送る姿を見ることができます。近くでまじまじと観察したくなりますが、あまり接近しすぎると驚いて親魚が卵を食べてしまうことがあるので、遠くからそっと見守るだけにとどめてください。
ふ化後1ヶ月は稚魚用のエサを与える
卵は産卵後3~4日ほどでふ化します。ふ化後しばらくはその場でじっとしていますが、4~5日ほどで水槽内を泳ぎだすようになります。
そこで稚魚の餌として、ブラインシュリンプを与えてあげてください。稚魚は成長にたくさんエネルギーを使うので、一日3回程度、少し多めに余ってしまうくらいの量をあげることが大切です。ブラインシュリンプをあたえ始めて1ヶ月程度で普通の餌が食べられるまでに成長するはずです。