種類別飼育方法

ハリセンボンの飼育方法

※この記事にはプロモーションが含まれています。

ハリセンボンといえば、熱帯魚飼育をしたことがなくても知っているかなりメジャーな魚でしょう。外敵に襲われそうになったり、興奮状態になったりすると、身体をプクーと広げて身体にある針を立たせる姿はとても特徴的で、どことなくユーモラスでもあります。

ちなみに、名前はもちろん「針千本」が由来になっていますが、実際に体中にある針(棘)を数えてみると、350~400本くらいしかありません。看板に偽りありですね(笑)

このハリセンボン、海水魚飼育界ではあまりメジャーではありませんが、飼育することは可能です。知名度の高さから、水族館への導入実績もたくさんあるので、飼われている姿を見たことがある人は多いはずですが、「海水魚飼育」と聞いたときにイメージする種類とはかけ離れており、新鮮な驚きがあるかもしれません。

全体的に飼育難易度は高めになっていますが、その意外性や思いのほか愛嬌のある姿は、なかなかに見逃せない魅力があります。

基本データ

名称 ハリセンボン
学名 Diodontidae
分類 フググループ
体長(成魚) 25cm
寿命 5年程度
飼育環境・飼育難易度
飼育温度 24℃前後
飼育水 pH8.2
市場価格 3,000~4,000円
総合飼育難易度 ★★★★☆易     難
近縁種(共通の飼育方法) クラウン・アネモネフィッシュ

飼育のポイント

水槽の大きさは120cm以上を推奨

ハリセンボンは体長25cmのサイズになる中~大型の海水魚です。このサイズ感の熱帯魚には、最低でも90cm水槽がほしいところ……ですが、本種を飼う場合はさらに一回り大きな120cm水槽を選ぶことをおすすめします。理由は、飼育者を大いに悩ませるハリセンボンの2つの特性にあります。

一つ目は、水質に対して非常に敏感なことです。水の汚れ(亜硝酸、亜硝酸塩濃度)ももちろんですが、他に気を付けなければならないのがpHの変化です。本種はこの変化に大変敏感であり、すぐに体調を崩してしまいます。ハリセンボンはウロコがありませんので、特に白点病には要注意です。

そして二つ目は、水をとても汚しやすいことです。ハリセンボンは大食いなうえ、生餌しか食べないグルメな海水魚です。食べた分だけ出るものは出るし、生餌も食べられるまで生命活動をしているわけで、水の汚しやすさは他と比べ物になりません。

この二つは、本当に飼育者の悩みの種になります。
「安定したきれいな水じゃないと生きていけないのに、自分はどんどん水を汚していく」

なんてワガママな生き物なんでしょうか!!

このワガママを少しでも叶えてあげようというのが、90cmではなく120cm水槽を選ぶ意味になります。水を汚しやすい生活に、豊富な水量による緩衝性で対抗するということです。
とはいえ限度がありますが、それでも90cm水槽と120cm水槽では水量に35%程の差がありますから、決して無意味ではありません。

底砂はスタンダードなサンゴ砂でOK

ハリセンボンを飼育するうえで、底砂について気を付けるべき事項は特にありません。海水魚飼育におけるスタンダードである、サンゴ砂を適当(3cm目安)に敷いてあげましょう。
粒度についても特に気を付けるべきところはなく、パウダータイプからブロックタイプまで、飼育者の好みで問題ありません。

ろ過設備はオーバーフロー一択

水槽サイズの項目で説明したとおり、ハリセンボンは水質について大変ワガママなうえ、厄介な白点病にかかりやすいです。徹底した水質維持のため、フィルターはオーバーフローシステムを導入する以外選択肢はありません。水量確保のため、濾過槽も出来るだけ大きな(60ℓ以上)ものを用意してあげましょう。

そして忘れてはいけないのは、オーバーフローだから導入できる強力なサブシステムたちです。まず、微細な有機物がアンモニア化する前に水槽外へ輩出してくれるプロテインスキマーを導入しましょう。もちろん、簡易的なエアーリフト式はもっての他です。値は張ってもベンチュリー式を準備してください。

その次に用意するのが、白点病の原因になる寄生虫を減らしてくれる殺菌灯です。原因を減らせば、発症も抑制することができます。非常に仰々しい設備になりますが、ここまでやれば間違いなくハリセンボンの飼育難易度は一ランク下がります。
手放しで可愛がってあげるためにも、十分に対応してあげましょう。

餌は生餌が中心

ハリセンボンは、ほぼ純粋な肉食性です。そして人口餌に餌付くことはほぼありません。そして、冷凍餌もあまり食べません。ですから食べさせるのは、生餌が中心になります。

貝やヤドカリなどの無脊椎はもちろん、小型のハゼなど口に入るサイズの海の生き物はたいてい食べます。もちろんこれらを継続的にあげていくのはそれなりにコストがかかるので、事前に十分計算してから飼育に踏み切ってください。

混泳について

同種との混泳 (困難)
他種との混泳 (困難)
サンゴとの同居 (困難)

ハリセンボンは他の海水魚との同居に対しても大変ワガママです。結論から言えば、どんな種であろうと本種と一緒に飼育することはできないと考えてください。

同種同士ではケンカを始めるほか(殺し合いまで行くことは稀)、家庭内の水槽では対抗できないほど水の汚れが加速します。
他種に対しては、食べてしまうか、いじめられるかのどちらかです。
サンゴはガシガシ食べつくしてしまいます。

ということから、少しさびしいですがハリセンボンは水槽で1匹飼いをしてあげましょう。

繁殖難易度

飼育下での繁殖 (困難)

ハリセンボンの一般飼育下での繁殖方法は確立されたものはなく繁殖の実現は困難です。繁殖への挑戦は諦めて、いま飼育している個体に情熱をそそぎましょう。

この記事をシェアする