飼育のコツ

水草水槽の作り方と初心者におすすめの水草を解説!

水草水槽

熱帯魚飼育の主役は、当然熱帯魚です。ライトアップされた水の中をスイスイ泳ぐ姿はきれいですし、心も癒されます。

そんな主役である熱帯魚を引き立ててくれる名脇役に水草がありますが、その水草を主役に位置付けた水槽作りも、最近注目を浴びています。

水草水槽の楽しみはガーデニングに通ずる?

水草は知っての通り、熱帯魚のような動きもないし、きらびやかな体色もしていません。

ただ、水槽の中に自分の思った通りの水景を作り出すのは、家の庭をガーデンニングしているような楽しさがあります。

また、楽しみの他にも飼育者側の利点として、

  • 熱帯魚の数が少ないので、水槽容量やろ過装置に余裕が生まれ水槽が安定しやすい
  • 水草は熱帯魚に比べ代謝が低いので、メンテナンスの頻度が少なくて済む
  • (よほど水草にこだわらなければ)費用が安く済む

といったものがあります。

熱帯魚が主役の水槽とは違った環境構築が必要

飼育を続けていくうえでの「楽さ」も一つの魅力なのですが、水草が主役だからこそ気を付けなければならない部分も存在します。それは「光量」「底砂の栄養分」の2つです。

「光量」水草が光合成をするために、「底砂の栄養分」水草が根から栄養を得るために必要です。

逆に言えば、この2つをきちんと準備してあげていれば、たいていの水草水槽は順調にキープすることができます。

水草水槽特有の準備

基本的な準備は熱帯魚メインの時と変わりませんが、光量を確保する照明と、植物に栄養分を与える底砂だけは普通と違った準備が必要です。

照明は飼育する水槽の大きさ×1.5倍分くらいが必要と考えてください。(例:60㎝水槽の場合は、60cm用の照明+30cm用の照明を一つずづつ使う)

底砂では「ソイル」とよばれる種類を使うことがほぼ唯一の選択肢です。ソイルは肥料が混ぜられた土を丸い粒上に焼き固めたものなので、水草が根をはりやすく、栄養分も供給してくれます

ソイルは水草を育てるうえでは間違いなく最上の選択肢ですが、元が土であるために1年くらい使い続けていると少しずつ形を崩して(溶けて)いってしまいます。

徐々に栄養分も枯渇していきますから、完全に溶けて泥状になる前に、水槽全体をリセットして新たなソイルを引き直すという大規模メンテナンスをするのが一般的です。

前景~中景~後景を意識する

水草の水槽導入は、熱帯魚ほど神経質になる必要はありません。むしろ丈夫な水草は、水槽の立ち上げ期に良い影響をもたらすことが多いので、セッティング後2~3日後から徐々に水草を導入していくことが可能です。

導入時には、最終的に達成したいレイアウトを目標に水草を植えてていくわけですが、そこで意識しておくと便利なのが前景~中景~後景の区別です。

簡単に言えば、

  • 前景:水槽の前側1/3くらい。背が低く横に広がりを持つ種を植える。
  • 中景:水槽の真ん中1/3くらい。ほどほどに背が高く、比較的成長が遅い種を植える。
  • 後景:水槽の後ろ側1/3くらい。水槽の背面を覆い隠せるように、背が高く成長が早い種を植える。

となっています。

これを守ることで、メンテナンスがしやすく、見ごたえのある水景を作ることができるのです。

生育場所別おすすめ水草

必要な準備と基本的なレイアウトのコツがわかったところで、前景~後景の場所別おすすめ水草をご紹介します。

100種類を超える水草の中でも、特殊な飼育道具を必要としないので初心者が扱いやすく、しかも手に入りやすい(どこでも売ってる&お財布にやさしい)種を厳選しています。

【前景】

ウィローモス

ウィローモス

モスの名の通り苔の仲間ですが、渋さを秘めた濃緑の色合いや柔らかさを感じるモフモフした見た目から、水草の一種として人気があります。
石や流木に縛り付けておくと活着(張り付く)する性質を持つのが特徴で、いちいち埋め込む手間がいらないのも初心者に優しい点です。

リシア

じつはこちらも苔の仲間です。ウィローモスに比べて鮮やかな緑色をしており、底一面に敷き詰めたときの美しさは相当なものです。
ただそれを実現するためには、細かな本種を一つ一つ植えるか、一面に成長するまで気長に待つことが必要で、導入までの道のりではウィローモスよりも少し険しくなります。

【中景】

アヌビアス・ナナ

水草の中でも入門種の代表格と呼ばれる種です。生命力が強く非常に丈夫なうえ、低光量・低栄養(この種に限ればソイルなんていりません)でも問題なく育ってくれます

力強い緑色に染まった大きな楕円形の葉っぱは非常に特徴的で、水槽内でのアクセントとしても役立ってくれます。しかも成長は遅いため、トリミング等に神経をとがらす必要もないという、初心者にとって至れり尽くせりの種であり、大変おすすめできます。

ミクロソリウム

こちらも初心者向けとして紹介されることが多い種です。ほぼ根元から生えている細長い葉が特徴的で、水の流れのある場所に植えると、ゆらゆらとたなびく様子が楽しめます。
この種も丈夫で成長はゆっくりなので、トリミングの心配をほとんどしなくて良いタイプです。

アマゾンチドメグサ

葉っぱがハートマークに似ている可愛らしい種です。これまで紹介した2種に比べると少し栄養分にうるさいですが、一般的なソイルを用いていれば問題になることはありません。

また、この種はほかの2つと比べて成長が非常に速いのが特徴で、気づくと水面から飛び出そうとしている状況になっていることがあります。そのため、ある程度のペースでトリミングをしてあげる必要がある種です。

【後景】

アナカリス

この種が枯れるならどんな水草も飼育できない。とにかくどんな状況でもグングン育っていく丈夫さが特徴のアナカリス。日本では「金魚藻」「オオカナダモ」という別名でも知られています。

この種の丈夫さは驚異的な増殖力にもつながっており、トリミングした部分を土中に差し戻せば、そいつも根を張ってグングン成長していきます。そのため、ショップで数本を購入後、伸びたらトリミング→差し戻すを繰り返すだけで、あっという間に水槽の背面を覆い隠せる群生が作れることになり、今回紹介した中でも特にお財布にやさしい種です。

最初なのでコストをかけたくない、飼育環境や技術に自信がないという人は、まず試してみるべき水草と言えるでしょう。

アマゾンソード

背が高く非常に大ぶりな葉っぱをつけるため、後景用の種としてよくつかわれる水草です。アナカリスには及ばないものの、よほど劣悪な環境でなければグングン成長していきます。水槽でも非常に目立つ存在のため、大きくなりすぎると不格好になりますので、定期的なメンテナンスは欠かせません

また、植え替えへの適応や増殖力という面ではアナカリスにまったく及ばないので、後景の中でワンポイントを形作るのに向いた種と言えるでしょう。

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