キンギョハナダイの飼育方法まとめ
海水魚なのに“キンギョ”の名前が着くので一瞬おぉっと思いますが、今回紹介する「キンギョハナダイ」はあくまでハナダイの仲間であり、キンギョとは縁もゆかりもありません。ただ、その見た目はキンギョそっくりであり、そこから「キンギョハナダイ」という名前が付けられました。
本種の飼育難易度は、海水魚全体で見た場合にはかなり低いといえます。水質にうるさくなく、温度変化にもある程度の適応力があり、餌へのこだわりもないことから、初心者向けの一種だといえるでしょう。
もう一つ特徴的なのが、この海水魚は成長するにつれて性転換をする点です。本種は生まれた時すべてがメスなのですが、大人になり完全に成熟するとオスに性転換するのです。一生の間にオスとメスを両方経験するという大変珍しい特性を持っています。
基本データ
名称 | キンギョハナダイ |
---|---|
学名 | Pseudanthiass squamipinnis |
分類 | ハナダイグループ |
体長(成魚) | 9cm |
寿命 | 3年程度 |
飼育環境・飼育難易度 | |
---|---|
飼育温度 | 25℃前後 |
飼育水 | pH8.2 |
市場価格 | 900~1500円 |
総合飼育難易度 | ★☆☆☆☆ |
別名 | ウミキンギョ、コンゴウハナダイ |
飼育のポイント
水槽の大きさは45cm以上が基本
キンギョハナダイは成長すると体長が10cm弱になります。体の固さや活動量は平均的なので特別な配慮は必要ありませんが30cm水槽では少し手狭です。最低でも45cm規格水槽で飼育してあげるようにしましょう。
ただ、本種はサンゴと非常に相性が良い種と言われています。理由は、ポリプをかじるなどのいたずらをせず、水温や水質などの好みも一般的なサンゴが生育しやすい環境と一致するためです。
飼育者の皆さんが「ぜひサンゴも一緒に飼いたい」ということであれば、サンゴ用に最低でも75cm規格水槽を準備するようにしましょう。
底砂はスタンダードな「サンゴ砂」
キンギョハナダイを飼育するうえで、底砂について気を付けるべき事項は特にありません。海水魚飼育におけるスタンダードである、サンゴ砂を適当(3cm目安)に敷いてあげましょう。
粒度についても特に気を付けるべきところはなく、パウダータイプからブロックタイプまで、飼育者の好みでもんだいありません。
ろ過設備は外部フィルターがおすすめ
キンギョハナダイは熱帯魚全体を通してみれば、水質の悪化に強く、そこまで強力なろ過装置は必要としません。外部フィルターのみの運用で十分飼育が可能です。
しかし、上で紹介したサンゴとの同時飼育を前提とするのであれば、外部フィルターでは全く足りないといえるでしょう。サンゴの飼育は、海水魚の飼育と比べて数段安定した環境が必要です。
徹底的にろ過とプロテインスキマーを効かせてきれいな水質を維持しながら、温度変化を抑えるためにクーラー+ヒーターをフル稼働させて1年中温度を一定に保ちます。
さらに病気やコケの発生を予防するための殺菌灯の導入や、サンゴを健康に維持するため、微量栄養素の添加剤投与も行っていく必要があるでしょう。
これらの条件を満たせるろ過装置は、今現在オーバーフロー水槽を以外にありませんので、サンゴの飼育を同時に行う場合にはオーバーフロー水槽を選ぶことになります。
餌付けの手間はかからない
キンギョハナダイは海水魚の中で数少ない、全く餌付けをしなくても人工餌を食べてくれる種です。導入後、少し魚たちが落ち着いたところ(1~2日後)で餌を水槽に放り込めばバクバク食べに来てくれるでしょう。。
混泳について
同種との混泳 | ✕(困難) |
---|---|
他種との混泳 | △(可能) |
サンゴとの同居 | ○(容易) |
キンギョハナダイは同時飼育に適さない種といえます。野生化ではハーレムを形成して群れで生活していることが多い(良くダイバーの撮影対象になります)のですが、水槽の中ではそれがうまくいかずケンカに発展することが多いです。
ただでさえ狭い水槽の中で、冒頭で紹介した性転換の特性も難しさに拍車をかけます。オス1匹+メス数匹の集団から、いつの間にかオスが突如出現(メスが成長しきってオスに性転換)してしまうのです。
一方で、他種との混泳はそれほど難しくありませんが、自分と姿かたちが似ている種(ハナダイの仲間など)はケンカの対象となってしまいますので、混泳は避けるようにしましょう。クマノミやハゼなど、一目で特徴が違うとわかる種であれば仲良く一緒に暮らせることが多いです。
サンゴについては、上でも紹介したようにとても相性が良く、どんなサンゴを飼育している水槽でも、安心して一緒に飼うことができます。
繁殖難易度
飼育下での繁殖 | ✕(困難) |
---|
キンギョハナダイの一般飼育下での繁殖方法は確立されたものはなく、繁殖の実現は困難です。繁殖への挑戦は諦めて、いま飼育している個体に情熱をそそぎましょう。