飼育のコツ

繁殖の基礎知識と繁殖が成功しやすい熱帯魚3種をご紹介!

熱帯魚飼育は、ただその姿を鑑賞するだけでも十分楽しめますが、ブリーディング(繁殖)へ挑戦することでさらに楽しみを広げることができます。熱帯魚のペアリング→産卵→孵化→成魚への成長を一サイクルとして、世代が次々と繋がっていくのはとても感動できるものですし、生まれてきた稚魚は、とても小さくかわいらしいものです。こういった楽しみは、他のペット(犬、猫、鳥類etc…)ではなかなかできないもので、熱帯魚だから感じられる楽しみともいえるでしょう。

ではこのブリーディング、具体的にはどのように進めていけば良いのでしょうか。

対象魚を選定する

熱帯魚の中には、ブリーディングが容易な種から、未だ成功例が報告されていない種まで様々です。

手軽に稚魚誕生の感動を味わいたいのなら、ブリーディングが容易な種の飼育を始めればよいですし、自分の気に入った種類のブリーディングに根気強く挑戦するのもまた一興です。

環境を整える

ブリーディングを行う場合には、単純に「熱帯魚が健康に過ごせる」環境を整えるだけではいけません。

具体的には

  1. 熱帯魚がペアリングできる(オス・メス両方が繁殖期を迎えられる)環境
  2. 無事に産卵が行える環境
  3. 稚魚が孵化できる環境
  4. 稚魚が成魚まで成長できる環境

の4つを用意してあげる必要があります。

特に1番と4番が山場になりやすく、その中でも、4番目の稚魚の成長はこれまで様々な試みがアクアリストの中で行われているものの、未だ発展途上の世界です。

根気強く挑戦し、無理はしない

ごく一部の例外を除けば、熱帯魚のブリーディングは失敗することの方が多いです。1~2度の失敗では諦めず、根気強く挑戦していくことが重要になってきます。

ただ、この「失敗」が意味するものは多くの場合、世に誕生した一つ一つの命が失われることに他なりません(卵が孵化できなかったり、稚魚が成長することができなかったり)。もしそこに多くの罪悪感や悲壮感を感じてしまうようであれば、無理せず止めることをおすすめします。

もちろん、ブリーディングは命をもてあそぶ行為ではありません。命の連鎖がどれほど絶妙なバランスの上に成り立っているかを学ぶこと。熱帯魚飼育という趣味のすそ野が、今後も広がっていくための基礎研究となること(人工的なブリーディング技術の確立は、熱帯魚価格の低廉化自然環境の保護を促進させます)。様々な面からの自然科学に対するアプローチです。

ただ、人には色々な考え方や向き・不向きがありますから、とにかく無理をしないことが重要です。

繁殖が成功しやすい熱帯魚

以上を踏まえたうえで、初心者がブリーディングに挑む場合にお勧めできる熱帯魚をご紹介していきます。繁殖が容易なだけでなく、飼育そのものも簡単でお財布にも優しいものを厳選していますので、参考にしてください。

プラティ

プラティ

プラティは体長2~3cmほどのメダカ目に属する熱帯魚です。日本のメダカと近い種なので、見た目も似ています。

この熱帯魚のブリーディングの特徴は「魚なのにお母さんが直接子供(稚魚)を産む」ことです。これは“卵胎生”と呼ばれる独特の性質で、お母さんのおなかの中で卵を孵化させ、子どもたちは卵から孵った状態ではじめて外の世界に出てきます

この卵胎生のおかげで、「産卵→孵化」までの過程で飼育者が手を煩わせることがないため、ブリーディングの難易度は熱帯魚中でも最も簡単といえます。

また、繁殖までの道のりも大変容易で、オスとメスを数匹づつ同じ水槽で飼って健康に維持していれば、いつの間にか子供が生まれていたということも多いです。

反面、稚魚誕生までのテンヤワンヤがなく、はじめて産卵したことに気付いた時の感動がないという、ブリーディングに対する楽しみが損なわれてしまう点があるのも事実です。

とはいえその難易度の低さは非常に魅力的なので、「初心者がまずやってみる」場合には、この種を選んでおくと間違いないでしょう。

アカヒレ

アカヒレ

飼育者が何もしなくても良いプラティではあまりに味気ない、という場合におすすめできるのがアカヒレです。コイ科の特徴である環境への適応性を存分に発揮してくれるため、初心者の多少の失敗を許容してくれる懐の深さがあります。

プラティと異なりしっかり産卵をしてくれますが注意点もあります。アカヒレはどこかに卵を産み付けるのではなく、その辺にばらまいてしまいますので、底面にしっかりと砂利や水草を敷いて、卵が隠れるようにしてあげる必要があるのです。(多くの熱帯魚は、卵を見つけるとすぐ食べてしまいます。自分の産んだものであろうと関係ありません)

繁殖までの道のりもプラティほど単純ではないので、よりアカヒレの過ごしやすい環境(水温や水質の他、できるたけペアだけで飼育してあげる)を整えていく必要があります。

ラミレジィ

ラミレジィ

ラミレジィの特徴は、オス・メスのペアが産卵後に卵の世話(らしきこと)をするところです。多くの熱帯魚が一度産んだら産みっぱなしというケースが多い中、非常に面白い行動を観察できます。

ラミレジィ繁殖に挑戦する場合には、少し割高になっても(2,000円くらい)すでにペアが成立しているものをショップで購入した方が、成功率が高いですし楽ちんです。

流木や石などの平らな面に産卵する性質があるので、水槽の中に準備してあげてください。ペアの2匹だけでしばらく健康に飼育していれば、小さな卵が産みつけられているのを発見できるはずです。

その後は、オス・メスのペアが卵の周りを警戒しながら泳いでいます(これが世話をしているように見える)ので、あまりストレスにならないよう、遠くから観察してあげてください。(あまりストレスがかかると、卵を食べてしまいます


以上3種が、初心者向けにおすすめできる種です。これから挑戦してみようという皆さんは、ぜひこの中からお好みの種を選択してください。

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