種類別飼育方法

ツノダシの飼育方法

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ツノダシは、ひし形を少しすぼめたような姿をしており、身体の横よりも縦の方が長い、魚にしては珍しい形をした熱帯魚です。以前は姿かたちの似たチョウチョウウオの仲間だと思われていましたが、最近の研究で実は遺伝的にはあまり近くない存在であると分かりました。格好が似ているのはどうも偶然のようです。

本種の変わった体形(淡水でもエンゼルフィッシュはとても人気ですね)から人気は高く、映画『ファインディング・ニモ』にも、ニモが連れてこられる水槽の先輩魚として登場します。映画では水槽内のリーダーとして、仲間たちをまとめる頼もしい役どころですが、実際のツノダシはあまり協調性のない大型種のため、他魚との混泳は難しく水質にもうるさかったりと、飼育難易度は高い熱帯魚です。

基本データ

名称 ツノダシ
学名 Zanclus cornutus
分類 ツノダシグループ
体長(成魚) 25c
寿命 5年程度
飼育環境・飼育難易度
飼育温度 25℃前後
飼育水 pH8.2
市場価格 2,000~3,000円
総合飼育難易度 ★★★★☆易     難

飼育のポイント

水槽サイズは120cmがおすすめ

ツノダシは大人になると体長25cmほどの大きさになります。しかも上で説明したとおり、横だけでなく縦に長い身体を持っています。そうなると、水槽は横の長さだけでなく縦の深さも重要なポイントになってくるので、ツノダシを飼う際は120cm規格水槽を用意してあげることをおすすめします。

十分な大きさを確保してあげることは、遊泳のストレスを軽減したり、水替え時のショックを穏やかにすることに繋がります。
ツノダシは海水魚全体の中でも、決して病気に強い方ではありません。特にストレスを感じるとすぐに白点病を発症する傾向にあり、そのまま回復しないケースも多いです。しっかり余裕を持った水槽を用意してあげることで、それらのリスクを少しでも小さくしてあげましょう。

底砂はスタンダードなサンゴ砂でOK

ツノダシを飼育するうえで、底砂について気を付けるべき事項は特にありません。海水魚飼育におけるスタンダードである、サンゴ砂を適当(3cm目安)に敷いてあげましょう。
粒度についても特に気を付けるべきところはなく、パウダータイプからブロックタイプまで、飼育者の好みで問題ありません。

ろ過設備はオーバーフロー推奨

ツノダシの飼育におけるろ過設備は、オーバーフローを選択すべきです。というより、上でおすすめしている120cm規格水槽では、オーバーフロー以外のろ過装置はすべて能力不足です。

また、繰り返しですが本種はストレスに弱く白点病にかかりやすい熱帯魚です。急激な温度変化を防ぐための「クーラー」と、白点病の予防に効果のある「殺菌灯」は必ず組み込んであげるようにしましょう。これだけで、彼らの身体と心にかかる負担が大きく減少します。おそらく今紹介したオーバーフローセットをすべて新品でそろえると、20~30万円ほどしてしまうので、飼育を始めるにはそれなりの覚悟が必要です。

餌付けする際は拒食に注意する

ツノダシの人工飼料への餌付けは、不可能ではありませんが、非常に「拒食」が多いことに注意しなければいけません。熱帯魚飼育における「拒食」というのは非常に厄介で、彼らは一度食べるのを拒否すると死ぬまでその餌を拒否し続ける傾向があります。「お腹がすけばいつかは食べるだろ‥」というのは人間の勝手な思い込みで、彼らは「死んでも食べない」という姿勢を貫くのです。

「拒食」自体を絶対に防ぐ方法は今のところなく、なる時は何をしていてもなるものの、その発生確率を下げる努力はしなければいけません。ここまで何度も出てきている「ストレスの軽減」です。
ツノダシのストレス要因を少しでもなくすため、自宅に招いても食べる餌を変えなくていいようにしてあげましょう。つまり、「すでにショップで餌付けが完了している個体を購入する」ということです。すでに食べている餌を聞いて、ツノダシと一緒に買って帰ってあげましょう。

ツノダシについては、このあたりが飼育の成否に大きく関わってきますので、ぜひ自力の餌付けではなくショップの力を借りてみるようにしてください。

混泳について

同種との混泳 (可能)
他種との混泳 (困難)
サンゴとの同居 (可能)

ツノダシは比較的穏やかな性格をしていると言われることもありますが、様々な要因から混泳にはあまり向いている種ではありません

普段、海中では小規模な群れで生活していることもあり、同種間の混泳では小競り合いよりひどいことは起こりません。ただ、本種は大型種の部類に入るので、水槽サイズやろ過能力の面で負担が大きくなります。複数匹の導入は慎重に行っていくべきでしょう。

一方で他種はというと、本種よりサイズが小さい熱帯魚では小さい方がストレスをためやすいです。(そもそもサイズが違うので、ちょっと小突かれただけでもダメージが大きい)

では、ツノダシと同じくらいのサイズはというと、このくらいのサイズは攻撃的な種が多く、今度はツノダシがストレスを貯めやすいほか、やはり水槽サイズなどの問題が出てきます。

さいごにサンゴとの同居ですが、少しちょっかいを出しはするものの、サンゴと同居の報告例はよく聞きますので、大きな問題にはならないようです。念のため、「弱い」と言われている種や自分のお気に入り(あるいは超高額な)の種は同居を控えた方がいいかもしれません。

繁殖難易度

飼育下での繁殖 (困難)

ツノダシの一般飼育下での繁殖方法は確立されたものはなく繁殖の実現は困難です。繁殖への挑戦は諦めて、いま飼育している個体に情熱をそそぎましょう。

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