種類別飼育方法

クイーンエンゼルの飼育方法まとめ

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海水魚の中でも特に美しいとされ、アクアリストの間でも人気の高いヤッコ・キンチャクダイの仲間たち。さらにその中で「Queen=女王」の名前を付されているのが今回紹介するクイーンエンゼルフィッシュです。

主にカリブ海に生息する本種の体色は「気品ある美しさ」と評価されることも多く、穏やかに泳ぐ姿や大ぶりの体躯から、海水魚飼育を行うものにとって憧れの的となっています。

しかし、その飼育はヤッコ・キンチャクダイの中でも難しい部類に入りますし、人気の高さや希少性も手伝って販売価格もお財布にやさしくありません。自分の水槽に導入するには、かなりの覚悟を必要とするでしょう。

基本データ

名称 クイーンエンゼルフィッシュ
学名 Holacanthus cialiaris
分類 ヤッコグループ
体長(成魚) 40cm
寿命 10年程度
飼育環境・飼育難易度
飼育温度 25℃前後
飼育水 pH8.2
市場価格 20,000~30,000円
総合飼育難易度 ★★★★☆易     難

飼育のポイント

水槽のサイズは120cm以上がおすすめ

クイーンエンゼルフィッシュは大人になると40cmほどになる大型の海水魚です。10cm前後の幼魚から販売されており(こちらの方が価格は安く、場合によっては1万数千円で手に入ります)、始めは90cm、あるいは60cm水槽でも飼育が可能ですが、成長のペースが速いため、すぐに手狭になることでしょう。

成魚になってからもきちんと飼育することを考えれば、120cm規格水槽を使用することを推奨します。もちろんそれ以上のサイズでも構いませんが、120cmサイズでさえ一般の家庭では置き場所に困ったり、床への荷重(120cmオーバーフロー水槽の場合450~500kg位が目安です)を考えると限界サイズでしょうから、あまり現実的ではありませんね。

また、このサイズになると場所の移動やリセットは容易にできません。寿命が熱帯魚としては長命な10年程度ある種ですので、自分の生活スタイルや将来設計を良く検討したうえで飼育を始めるようにしましょう。

底砂はスタンダードの「サンゴ砂」

クイーンエンゼルフィッシュを飼育するうえで、底砂について気を付けるべき事項は特にありません。海水魚飼育におけるスタンダードである、サンゴ砂を適当(3cm目安)に敷いてあげましょう。

粒度についても特に気を付けるべきところはなく、パウダータイプからブロックタイプまで、飼育者の好みで問題ありません。

ろ過設備はオーバーフロー水槽一択

クイーンエンゼルフィッシュを飼育する場合、ろ過設備はオーバーフロー水槽を強く推奨します。というよりも、ほぼそれしか取りうる選択肢がないというのが現実です。

上で紹介している通り、本種を成魚になってからもしっかり飼いこむことを考えれば、水槽は120cmサイズを必要とします。この120cmサイズの水量(およそ400リットル)を十分にろ過するためには、オーバーフローの他にないのです。

外部フィルターの2台並行稼働+サブフィルター導入でも不可能ではありませんが、手間がかかって途中で飼育を投げ出したくなるでしょう。

また、本種はヤッコ類の例に漏れず白点病などの病気にかかりやすい傾向がありますので、予防効果のある殺菌灯を使えたり、大きなろ過槽により水量を増やすことができたり(水が汚れにくくなる)する点も優位に働きます。

人口餌への餌付けは可能

クイーンエンゼルフィッシュは、人口餌に餌付きやすい部類に入ります。水槽導入後、2~3日して落ち着いたら、まずは人口餌をいくつか水槽に落としてあげましょうそこで食いつくようならもう餌付けは完了、その後は人口餌だけ与えていれば十分です。

もし食べなかった場合は、ブラインシュリンプなどの冷凍餌と人口餌を一緒に混ぜて与えてみましょう。そのうち人口餌も食べだすはずなので、少しずつ冷凍餌の比率を落としていけば餌付け完了です。本種は草食傾向が強いので、人口餌は海藻類の割合が高いものをチョイスするようにしてください。

混泳について

同種との混泳 (困難)
他種との混泳 (可能)
サンゴとの同居 (困難)

クイーンエンゼルフィッシュは気が強い性格のため、あまり混泳に向いた海水魚とは言えません。まず同種間については、混泳NGです。縄張り争いを始め、どちらかが死ぬまで争いは止まらないことでしょう。また、姿かたちが似ている他のヤッコ類・キンチャクダイ類も避けた方が無難です。

他種との混泳は不可能ではありませんが、多少の工夫を必要とします。本種に追いかけられてもそれほどダメージの受けない大き目な種(25cm~)か、あるいは容易に隠れることのできる小型種(~8cm)が良いでしょう。本種は植物食のため、小さい同居魚がいても食べてしまうことはありません。

また、レイアウトの工夫も必要です。ライブロック等を利用し、迷路のようなレイアウトを水槽内に作ることで、追いかけっこが起こりにくい環境を整えてあげましょう。

最後にサンゴとの同居ですが、本種はサンゴを突っつく性質を持っているため同居はNGです。その頻度は本当に驚くほどで、導入後1日もたてば、水槽内はサンゴの墓場と化しているほどでしょう。

繁殖難易度

飼育下での繁殖 (困難)

クイーンエンゼルフィッシュの一般飼育下での繁殖方法は確立されたものはなく繁殖の実現は困難です。繁殖への挑戦は諦めて、いま飼育している個体に情熱をそそぎましょう。

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