「熱」帯魚も夏は苦手?知っておきたい5つの暑さ対策!
熱帯魚と言えば、言わずもがな熱帯に住んでいます。そのため「熱帯魚=暑さに強い」というイメージを、多くの人が持っているのではないでしょうか。ところが、実態は必ずしもそうではありません。
日本の夏は暑すぎる
たしかに熱帯魚は他の地域に住む魚と比べれば、より高温の環境で生活しています。
例えば、日淡とよばれる日本に昔から住む淡水魚の至適水温(生きていくのに最も適した水温)は15~20度の間です。
一方、標準的な熱帯魚の至適水温は25度前後となっています。そういう意味では、“暑さに強い”というのは間違いではありません。
ただ、強いといってもそこには限度があります。最近の日本の夏は、最高気温30度がざらにあり、ひどい時には35度を超える猛暑日になりますよね。これは熱帯魚にとっても、あまりに暑すぎるのです。
川や海くらい水量があれば、比熱の大きい(温まりにくく冷めにくい)「水」は夏の高温にさらされてもそれほど温度変化がありませんが、家の中に置く水槽程度ではそうもいきません。
気温の変化に伴って水温も上昇してしまい、熱帯魚の至適水温を大きく上回ってしまいます。
水温は目標27度 、限界28度と心得る
熱帯魚は変温動物なので、温度変化の影響を人間より強く受けます。日本の大部分の地域では、夏場何も対策せずに放置しておくと、水温は30度を突破するはずです。
これでは多くの熱帯魚の命が奪われてしまうので、水温を27度以下に抑えることを目標としながら、28度は絶対に越えないように対処していく必要があります。
ここで注意しなければならないのが、冒頭にも触れた水の比熱の大きさです。比熱が大きいということは、一度温まってしまうと冷めにくいということですので、水が温まってしまってから対処すると、ものすごく大変になってしまいます。
逆に、水が温まってしまう前に対処をしておけば、そもそも水は温まりにくい特性を持っているのですから、格段に楽ができるのです。
具体的な対処法
具体的な高温対策は大きく分けて二つあります。①水分蒸発量を増やす(気化熱を多量に発生させる)方法と②飼育水を積極的に冷やす方法です。
単純化すると、①は効果が低いがコストも安い、②は効果が高いがコストも高い傾向にあります。対処法それぞれについて、効果・費用・手間の評価を5段階で記載しますので、参考にしてください。
評価項目の見方星が多い方が、一般的にいい評価につながるようにしています。
効果 | 水温を下げる能力。★が多いほど効果を見込める |
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コスト | 費用がどれほどかかるか。★が多いほどお金がかからない |
手間 | 手間がどのくらいかかるか。★が多いほど簡単にできる |
ふたを開ける(気化熱)
効果 | ★☆☆☆☆ |
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コスト | ★★★★★ |
手間 | ★★★★★ |
普段閉めている水槽のふたを開けっぱなしにするだけです。これで飼育水の蒸発量が上がり、気化熱の発生を促します。
簡単な代わりに効果はそれほど望めません。また、熱帯魚の飛び出し事故が起きやすくなるので、ハゼなどの飛び出しやすい熱帯魚を飼育している場合には、おすすめできない方法です。
冷却ファンの利用(気化熱)
効果 | ★★☆☆☆ |
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コスト | ★★★★☆ |
手間 | ★★★★☆ |
いわゆるコストパフォーマンスでいえば、この方法が一番良いかもしれません。
熱帯魚ショップなどで販売されている冷却用ファン(小さい扇風機)を使って、水面に風を送ります。風が吹けば水分は蒸発しやすくなりますから、飼育水の蒸発量が増えていくのです。
それほど大きなデメリットはありませんが、水槽周りで新たな電化製品を使うわけですから、漏電等への注意は必要です。
人間用扇風機の利用(気化熱)
効果 | ★★★☆☆ |
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コスト | ★★★☆☆ |
手間 | ★★★☆☆ |
先ほど紹介した2番の応用になります。たくさん風を送ればその分蒸発するんだから、熱帯魚用のファンじゃなくて人間用の扇風機を使おうという考えです。
床に置くタイプではあまりに大きいので、クリップ式の卓上タイプの扇風機が多く使われます。
上手く使えば、確かに冷却ファンよりも効果が見込めます。ただ、もともとそういった用途の仕様を前提に設計されていないので、準備に手間がかかることが多いです。また当然ですが、落水による漏電事故にも十分注意しなければいけません。
水槽用クーラーの利用(積極的に冷やす)
効果 | ★★★★★ |
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コスト | ★☆☆☆☆ |
手間 | ★★★☆☆ |
熱帯魚ショップに行くと、水槽用に水を冷やすクーラーが売っています。設置に少々手間がかかりますが、一度水槽につなげれば、24時間水を一定の温度まで冷やしてくれる優れものです。
とても便利なこの方法ですが、なかなか熱帯魚業界の裾野にまで浸透しません。理由はお金がとってもかかるからです。水槽用のクーラーは、安価だが効果の低いペルチェ式 で2~3万円、確実な効果が期待できるチラー式 (冷蔵庫と同じ原理)で5万円~10万円します。
さらに一度稼働させれば、電気代が数千円かかってしまうこともあり、熱帯魚飼育にそこまで費用をかけるのは…と考える人がいるのも当然といえるでしょう。
人間用クーラーで部屋ごと冷やす(積極的に冷やす)
効果 | ★★★★★ |
---|---|
コスト | ★☆☆☆☆ |
手間 | ★★★★★ |
水槽をリビングなどにおいている人にとっては、かなりおすすめ度の高い方法です。外気温に合わせて水温が上がってしまうなら、外気温(=部屋の温度)ごと冷やしてしまいましょう。
やり方はとっても簡単、原則24時間、人間用のクーラーを快適な温度に稼働させておくだけです。水は比熱が大きいので、部屋の温度が28度くらいであれば、それほど水温は上がりませんから、夜間の温度が涼しいなら、クーラーの稼働は不要でしょう。
ただ当然、これにはコストがかかります。その分人間も部屋内で快適に過ごせるので、それをもって良しとできるかが課題です。
【番外編】照明の点灯時間変更
効果 | ★★☆☆☆ |
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コスト | ★★★★★ |
手間 | ★★★★☆ |
番外編として、照明の点灯時間変更という手段があります。特に蛍光灯は熱を発しやすい特徴があるので、点灯時間を比較的涼しいう夜間に変更することで、昼間の水温上昇を抑える意図があります。
それほど大きな効果は見込めませんが、手間は特段かかりませんので、やってみるのも一つの方法ではないでしょうか。