まずはじめに

水槽用フィルターの役割と種類・特徴を徹底解説!

フィルターの中身のアップ

熱帯魚飼育におけるフィルターは、魚が生きていくのに不可欠なや、それを入れる水槽に匹敵するほど重要なものです。

ただ、水や水槽に比べ、フィルターは多くの種類・形態が販売されており、その役割も少し理解しにくい部分があります。

フィルター選びの成否は、そのまま飼育の成否に直結してくるので、まずはフィルターの役割をしっかり理解していきましょう。

フィルターの役割

熱帯魚飼育におけるフィルターの役割は主に4つあります。

  1. 異物を取り除く
  2. 水を浄化する
  3. 水を循環させる
  4. エアレーション(曝気)

それぞれを、少し詳しく見ていくと…。

異物を取り除く

まずは一番分かりやすい、目に見えるゴミを取り除く機能です。枯れた水草や、食べ残しのエサなどゴミは毎日発生してきます。それを、スポンジや不織布のフィルターでろ過していきます。単純な働きなので、フィルターの種類による優劣があまりない役割です。

水を浄化する

目に見えない部分の水質を整える機能です。魚の糞などから発生する有害物質(アンモニアなど)をバクテリアの働きで比較的害の少ない物質に変えたり、有害物質そのものを活性炭などで吸着することで、水質を魚の住みよい状態に保ちます。

フィルターの役割の中で最も重要であり、優劣がつきやすい部分です。この機能を十分に理解し、最適な選択をすれば、熱帯魚飼育の半分は成功したといえるでしょう。

水を循環させる

「流れる水は腐らない」といわれるように、水は淀んだ状態でいると、すぐに悪くなってしまいます。そこで、水槽内の水を強制的に循環させ、水の劣化を防ぐ機能です。循環量の多いもの、少ないものがありますが、魚の好みによっても最適解は変わってきます

エアレーション

熱帯魚も人間と同じく、生きるのに酸素を必要とします。エラ呼吸によって、 水の中に溶け込んでいる酸素を消費していくので、どこかから補給しなくてはいけません。フィルターの曝気機能は、水面を揺らすことで、空気中の酸素を水の中に溶け込ますことができます。

水中に酸素を溶け込ますと聞くと、いわゆるブクブクをイメージする人が多いですか、それ以外のフィルターでも、水面を揺らすことができれば酸素は自然と溶け込んでいきます。

これら4つの役割をもとに、価格やメンテナンス性・静穏性を検討してフィルター選びを進めていきます。

フィルターの種類とそれぞれの特徴

現在のフィルター市場は、主に6種類の製品が販売されており、それぞれにメリット・デメリットがあります。

評価項目と評価の目安
推奨サイズ そのフィルターの使用を推奨する水槽サイズ
価格
  • 製品の価格(どれだけ安く購入できるか)
  • 星1つ5万円以上 星5つ数百円 の5段階評価
メンテナンス性
  • 日常管理や洗浄のしやすさ
  • 星1つ半日作業 星5つ5分で完了 の5段階評価
浄化能力
  • 水の浄化能力
  • 星1つ 星5つ の5段階評価
静穏性
  • 音の静かさ
  • 星1つリビングでも気になる 星5つ寝室でもOK の5段階評価

あくまでも独自評価ですので、詳細はメーカーHPなどで必ず確認してください。

上部式フィルター

推奨サイズ ~90cm
価格 ★★★☆☆
メンテナンス性 ★★★★★
浄化能力 ★★★★☆
静穏性 ★★☆☆☆
短評 高いメンテナンス性と浄化能力で初心者におすすめ。水草水槽や海水魚飼育には不向き

上部式フィルターは、水槽の上部に設置して稼動させるフィルターです。本体上部のふたを外せばすぐにろ過材があり、メンテナンス性は非常に良好です。ろ過材の量(=バクテリアの住処)も比較的多く、加えて曝気能力が高いため、魚の飼育に最適な条件が多く揃っています。

その反面、水槽の上部を覆ってしまうため、光が多く必要な水草飼育には向きません。上部から水を落とすという構造から水跳ねもおこり、海水魚の飼育にも不向きです。(水槽の周りが塩だらけになります

静穏性に関しても、水を落とすという工程がネックになり、常にコポコポと音がします。寝室など、静かさが求められる部屋には置かないほうが得策です。

外掛け式フィルター

推奨サイズ ~45cm
価格 ★★★★☆
メンテナンス性 ★★★★☆
浄化能力 ★★☆☆☆
静穏性 ★★★☆☆
短評 価格が安く、導入もメンテナンスも楽チン。しかし浄化能力は低め

外掛け式フィルターは、水槽のふちに引っ掛けて使用するフィルターです。初心者向けの小型水槽セットに最も多く導入されているタイプになります。それだけあって、設置やろ過材の交換などは非常に簡単にできます。

適正に使えば音も静かなものが多いですが、ろ過材の容量は非常に小さいため、浄化能力は低くなります。小型の水槽で、魚を1~2匹飼育しようとする方におすすめのタイプです。

外部式フィルター

推奨サイズ 45~120cm
価格 ★★☆☆☆
メンテナンス性 ★★☆☆☆
浄化能力 ★★★★☆
静穏性 ★★★★★
短評 メンテナンス性以外のほぼすべてが高レベルの万能選手

外部式フィルターは水槽の外部に置き、ホースで水槽との間をつないで使用するフィルターです。多量のろ過材を入れられるため、浄化能力は相当に大きく、密閉された本体の中ですべてが完結するため音も大変静かです。

水槽側にあるのは水の出口と入り口だけですので、美観を損ねることがないうえ、照明も設置し放題というメリットもあります。

このフィルターの唯一と言ってもいい欠点が、メンテナンス性の悪さです。清掃しようとすると、慣れないうちは1~2時間かかってしまうこともあります。

その他、価格もやや高めですが、飲み会を1~2回欠席すれば何とかなるくらい です。

外部式フィルターは、ほとんどあらゆる水槽において使用するフィルターの選択肢になりえます。迷ったら外部式フィルターくらいの考えでいても問題ありません。

底面式フィルター

推奨サイズ 30~60cm
価格 ★★★★☆
メンテナンス性 ★☆☆☆☆
浄化能力 ★★★★☆
静穏性 ★★★☆☆
短評 手間をかければ高い浄化能力だが、小型水槽向き

底面式フィルターは、水槽の下部に敷いた底石をろ過材として使用するフィルターです。底石の量=バクテリアの住処となるので、高い浄化能力を望めます。

そのかわり、枯れた水草などの物理的なゴミも底にたまっていくので、定期的な掃除が必要です。これが意外と手間がかかり、根気のいる作業になります。どんなに頑張っても、60cmより大きい水槽では導入が難しいでしょう。

また、定期的に底石に手を入れるため、水草水槽にもまったく向きません。

浄化能力は外部式に匹敵するので、小型水槽で手間をかけても良く、安価に済ませたいのなら選択肢に入る種類です。

投げ込み式フィルター

推奨サイズ 30~45cm
価格 ★★★★★
メンテナンス性 ★★★☆☆
浄化能力 ★★☆☆☆
静穏性 ★☆☆☆☆
短評 とにかく安価。ろ過能力は最低限確保できるが、どうしても昭和に雰囲気に…

いわゆる「ブクブク」と言われるタイプです。このタイプはとにかく安く、セールのタイミングを狙えば100円台で買えるものもあります。

しかし、ろ過材の量は少なく、加えて常にブクブクと音が鳴るため、うるさいと感じる人も多いようです。

日本ではそれなりに歴史のあるタイプなのですが、それゆえに水槽内のスタイリッシュさは削がれます。水槽内で最も目立つ種類のフィルターです。

小型の水槽で、手間をかけずに安価で済ませたい+美観は犠牲にできる場合には、選択肢に加えるべきフィルターです。

オーバーフロー水槽

推奨サイズ 60cm~
価格 ★☆☆☆☆
メンテナンス性 ★★★☆☆
浄化能力 ★★★★★
静穏性 ★☆☆☆☆
短評 圧倒的なろ過能力と導入コスト。初心者にはハードルが高い

オーバーフロー水槽とは、観賞用の水槽の下に独立した濾過槽(ろ過専用の水槽と考えると簡単です)を用意し、水をろ過しながら循環させる水槽のことです。厳密に言えば、フィルターではなく水槽システム全体のことをさし、その一部分にフィルターと同機能が組み込まれているものです。

他のフィルターに比べ規模が格段に大きい(水量が2倍以上に増えることも!)ため、最高峰のろ過能力を有するだけでなく、栄養素の添加や、クーラー(水冷)機能まで持たせることができます

しかし、大規模な分導入コストも半端ではなく、最も安価にそろえても5万円から、少しこだわりだすと、ボーナス全額が吹っ飛んでしまう金額に簡単に到達します。

設置場所もある程度の大きさが必要なうえ、管理にも一定の知識が必要なので、初心者がいきなり導入するにはハードルが高すぎます。とにかく浄化のことだけを考えた場合には他の選択肢が考えられないほど優秀なのですが、コストとの兼ね合いから、飼育が難しく代替手段がない海水魚の大型水槽で用いられることがほとんどです。

以上6つが、主な種類となっています。ぜひとも導入の際の参考にしていってください。

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