オトメハゼの飼育方法
オトメハゼは水底を中心に生活するハゼの一種で、水槽底面を彩る脇役として人気があります。
また、底砂をこしとって砂の中に含まれているものを食べるベントス性と呼ばれる特性を持っているユニークな種でもあります。
そのおかげで砂をしょっちゅう引っ掻き回しているので、常に底面の砂が撹拌され、汚れがたまりにくかったり、コケが生えにくくなったりする利点もあります。
基本データ
名称 | オトメハゼ |
---|---|
学名 | Valenciennea puellaris |
分類 | ハゼグループ |
体長(成魚) | 15cm |
寿命 | 2年程度 |
飼育環境・飼育難易度 | |
---|---|
飼育温度 | 25℃前後 |
飼育水 | pH8.0 |
市場価格 | 2,000円 |
総合飼育難易度 | ★★★☆☆ |
近縁種(共通の飼育方法) | クラウン・アネモネフィッシュ |
飼育のポイント
水槽の大きさは単独飼いなら45cm以上
オトメハゼは中型の海水魚で、積極的に水槽内を泳ぎ回る種ではありません。自分の住処(岩と底砂の隙間など)を決めたら、その周りを砂から食料を濾しとったりしながらちょこまかと動き回ることが多いです。
そのため、本種単独飼いをするだけであれば45cm水槽で飼育が可能です。本種はハゼ類以外のほとんどの種と混泳が可能なので、他魚と混泳させる場合には、60cm規格以上の水槽を用意してあげましょう。
なお、本種に限らずハゼの仲間は、驚くと水面に向って勢いよく泳ぎだし、空中に飛び出すという性質があります。普通の海であればまた水面に戻れますが、飼育下の場合水槽の外に飛び出すとそのまま干からびてしまいます。
そのような事故が起きないよう、急な振動を与えないなどの注意とともに、必ず上面の蓋をぴっちり閉めておくようにしましょう。
底砂はパウダータイプのサンゴ砂
オトメハゼは上で書いたように、ベントス性の海水魚なので、必ず底砂を敷いてあげる必要があります。
砂から濾しとって餌をとりますので、あまり大きな砂粒ではうまく作業ができずご飯が食べられません。パウダータイプと呼ばれる極少サイズの砂粒をしたサンゴ砂を用意してあげましょう。厚みは彼らの撹拌に耐えられるよう、3cm程度敷いてあげることが大切です。
ろ過設備は「外部フィルター」で対応可能
オトメハゼ単体で飼育する場合には、海水魚飼育で一般に推奨されるオーバーフロー設備までは必要ありません。外部フィルターで十分対応できますが、推奨サイズは必ず守るようにしてください。なお、他魚と混泳する場合は話が変わってきますので、その時はオーバーフロー設備を導入するべきです。
餌は沈むタイプを入れておけばOK
オトメハゼは、飼育者が投入した餌を直接食べに来ることは稀です。(慣れた個体で時々見られる程度)何度も紹介しているように本種はベントス性ですから、砂に混じった食べ物を濾(こ)しとって食事をします。
つまり、人口餌を適当にばらまいて底砂に埋もれさせてやれば、いつの間にか食べていることになるのです。そのため、本種に対し特別に餌付けは必要ありません。
しかし、水底をブラブラしている性質とは裏腹に、意外と大喰らいの一面があるので、餌の量は常に気にしてあげる必要があります。彼らは食事の量が足りないと目に見えて痩せてきますので、そんな時は多めに餌を与えるなど、常に調整をしてあげるようにしてください。
混泳について
同種との混泳 | ✕(不可) |
---|---|
他種との混泳 | ○(容易) |
サンゴとの同居 | △(可能) |
オトメハゼは基本的に穏やかな種なのですが、他のハゼの仲間と同じく、ハゼ類との同居はできません。互いにテリトリーを主張し合い、強い方が弱い方を死ぬまでいじめ続けます。
ハゼ類を除く他種との混泳は比較的容易で、多くの海水魚と生活エリアが被らないこともあって、ケンカが起こることもほとんどありません。
最後にサンゴとの同居ですが、不可能ではないものの注意点があります。砂を濾しとって食事をとるという性質上、オトメハゼのいる水槽は常に砂が数cmどこかで舞っていることになります。
低い場所にサンゴを置いてしまうと、毎日のように砂をかぶり、次第に弱っていってしまうのです。そこで、サンゴと同居させる場合には、ライブロックなどのレイアウトを工夫してなるべく高い位置にサンゴを置いてあげるようにしてください。
繁殖難易度
飼育下での繁殖 | ✕(困難) |
---|
オトメハゼの繁殖については、ペアリング+産卵までは実績があるものの、その後稚魚の飼育についてのノウハウが確立されておらず、未だ困難です。
なお、ペアリングもオスメスの外見上の区別はつかず、ギャンブルとなってしまうので、多くの場合もとからペアは成立している2匹を水槽に導入するケースの方が多いです。