飼育のコツ

タンクメイトの役割と淡水・海水別おすすめタンクメイト

ホワイトソックスシュリンプの混泳

熱帯魚飼育では、その姿を鑑賞するメインの魚の他に、様々な目的で水槽に導入する脇役生物(=タンクメイト)を入れることが一般的です。

彼(彼女)らの具体的な役割は、大きく分けると次の4つになります。

タンクメイトの役割

コケを防いでくれる

この目的でタンクメイトを導入しているケースが一番多いのではないでしょうか。熱帯魚を飼育するうえで切っても切れない関係のコケ。これを好んで食べる生き物を積極的に導入して、コケの浸食を最小化する目的で入れられます。

残飯の処理をしてくれる

この役割を担う生物は「スカベンジャー」と呼ばれたりもします。メインの熱帯魚の食べこぼしなどを見つけて食べてくれる生き物です。

安定した大規模水槽になると、気付かないうちに寿命が尽きてしまう個体が発生することもあり、そういった死骸の処理をしてくれる生き物を含めることがあります

タンクメイトの様子で水質が把握できるものもいる

タンクメイト候補生の中には飼育されている水質が悪くなると、特定の行動を起こしたり、体色が変化したりする種がいます。この特性を利用して、「生きる水質検査役」としての役割を担ってもらうことがあります。

メインの熱帯魚を引き立てる

鑑賞のメインとなる熱帯魚の周りに動きをつけることで、その存在をさらに際立たせるものです。もちろん、タンクメイトとして活躍する機会の多い生き物にも、美しい体色をもった種もおり、その場合には、水槽の引き立て役ではなく共演者として活躍します。

タンクメイトは、このような様々な役割に応じて選択されますが、どんな場合にも絶対的に守られるべき条件は、メインの熱帯魚と争ったり捕食関係になったりしないことです。

おすすめタンクメイト

淡水、海水それぞれでおすすめのタンクメイトを紹介していきます。

コケ予防、残飯処理、水質指標、メインの引立て役という4つの役割について、評価も記載しますので、参考にしてください。

淡水のおすすめタンクメイト

オトシンクルス(熱帯魚)

コケ ★★★★★
残飯 ★☆☆☆☆
水質 ★☆☆☆☆
引立 ★★★☆☆

ガラス面などについた茶ゴケを食べる食性を持った小型魚のため、コケ予防に役立ちます。
体色が地味なので、脇役としての活躍もそこそこ期待できる種です。

ヤマトヌマエビ&ミナミヌマエビ(えび)

コケ ★★★★☆
残飯 ★★★☆☆
水質 ★★★★☆
引立 ★★★★☆

水底などに生える苔を食べてくれる他、熱帯魚の食べ残しも見つけ出して処理してくれる万能選手です。熱帯魚とは違った動きをするので、引立て役としても活躍してくれます。
水質に対する評価は4つ星ですが、かなり敏感な部分があり死んでしまいやすいので注意が必要です。

イシマキガイ(貝)

コケ ★★★★☆
残飯 ★☆☆☆☆
水質 ★☆☆☆☆
引立 ★☆☆☆☆

オトシンクルスと同様に、ガラス面に生えたコケを食べてくれます。ただ、見た目がまさしく貝なので、受け付けない人は全く受け付けないでしょう。

コリドラス(熱帯魚)

コリドラス
コケ ★☆☆☆☆
残飯 ★★★★☆
水質 ★☆☆☆☆
引立 ★★★★☆

この種をメインに飼うアクアリストも多数いますが、一方でタンクメイトとしても優秀です。底面を生息域にしているので、メイン種の邪魔をせず、行動も愛くるしい名脇役になってくれます。その生態から、底面に落ちた食べ残しも片づけてくれます。

アカヒレ(熱帯魚)

アカヒレ
コケ ★☆☆☆☆
残飯 ★☆☆☆☆
水質 ★☆☆☆☆
引立 ★★★★★

本種もメインとして飼われる機会がある熱帯魚ですが、渋い体色と飼育のしやすさから、脇役としても大いに活躍してくれます。「もう1種類何か熱帯魚をいれたいな」と思った時、多くの場合に上位候補となりえる種です。

海水のおすすめタンクメイト

オトメハゼ(熱帯魚)

オトメハゼ
コケ ★★★★★(底砂)
残飯 ★★★★☆
水質 ★☆☆☆☆
引立 ★★★★☆

底層を生息域としたハゼの仲間です。底砂を口に入れては出してを繰り返しながら食べ物を探すユーモラスな姿が観察できます。

また、その行動から底砂が常に拡散されることでコケが生えなくなり、砂に埋まった残飯の処理もしてくれる頼もしいタンクメイトです。近縁のヤマブキハゼも同様の働きを期待できます。

ホワイトソックス・スカンクシュリンプ(エビ)

ホワイトソックスシュリンプ
コケ ★☆☆☆☆
残飯 ★★★☆☆
水質 ★★★★☆
引立 ★★★★★

両者は海水魚飼育時に導入するエビ類の2大巨頭です。
淡水のエビとは食性が異なるため、コケ掃除はあまり期待できませんが、南国らしい鮮やかな体色が水槽内に彩りを添えてくれます。

エビの仲間の共通点として水質に敏感すぎるのは相変わらずで、少しの悪化であれば元気がなくなる(活動量が落ちる)だけで済みますが、悪化が進むとそのまま帰らぬものとなってしまうので注意が必要です。

スベスベサンゴヤドカリ・アカツメサンゴヤドカリ(ヤドカリ)

コケ ★★★★☆(岩)
残飯 ★★★★☆
水質 ★★★☆☆
引立 ★★★★☆

水槽内をちょこまかと動く可愛い姿で、レイアウトに使われる岩などに生える苔や魚がこぼした残飯などを食べてくれる働きものです。エビ類に比べれば水質の悪化に多少強いので、より初心者向けのタンクメイトと言えます。

上にあげた種類の他にも、サンゴヤドカリと名前の付くヤドカリは基本的におすすめできる種です。

マガキガイ(貝)

コケ ★★★★★(岩、ガラス面)
残飯 ★★☆☆☆
水質 ★☆☆☆☆
引立 ★★☆☆☆

レイアウトしている岩やガラス面に生えたコケを食べてくれる貝の仲間です。ただ、ガラスに上るのは下手なので、せいぜい下から5cm位の部分しか食べてくれません。貝類の中では移動速度が速い部類に入るので、移動しているところを見ることができれば、水槽の賑わいになってくれます。

イソギンチャク(その他)

コケ ☆☆☆☆☆
残飯 ☆☆☆☆☆
水質 ★★★★☆
引立 ★★★★★

特にクマノミと同時導入されることの多いイソギンチャク。飼育下ではサンゴイソギンチャク、センジュイソギンチャクなどの比較的毒性の弱い種類が選ばれます。この種を飼えるのは海水魚水槽だけなので、一気に海原感を発揮できるタンクメイトです。

しかし水質への要求は厳しく、少しでも悪化すると体調を崩し、身体が溶け出してきます。溶けだした身体はさらに水質の悪化を呼び、水槽全体の崩壊につながりますので、体が溶け始めてしまったら、心を鬼にしてすぐに水槽から出すことが必要です。

その意味で、飼育難易度はかなり高い部類に入ります。

サンゴ(その他)

コケ ☆☆☆☆☆
残飯 ☆☆☆☆☆
水質 ★★★★★
引立 ★★★★★

海水魚界におけるタンクメイトの王様です。鑑賞以外にはあまり役に立ちませんが(笑)、サンゴのあるないで水槽の華やかさが圧倒的に違ってきます。

しかし、飼育難易度はイソギンチャクを遥かに凌駕するレベルで、高価な設備を整えるか、たくさん知識と経験を蓄えるかのどちらかが必要です。

また、サンゴ自体も親指の先サイズで数千円する種がいたりと大変高価なので、導入にはお財布との相談も必要となるでしょう。

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