ドンドン増える!水槽に発生した巻貝(スネール)の原因と駆除の方法
熱帯魚を飼育していると、いつの間にか水槽内にスネールとよばれる巻貝が発生することがあります。
スネールとは?
熱帯魚飼育の世界では、スネールと呼ばれる巻貝がよく発生しますが、実は世の中に「スネール」と言う名前の巻貝はいません。
スネールとは、「飼育者に意図に反して現れる&増殖する巻貝」の総称です。具体的な種類としては、サカマキガイ、モノアラガイ、レッドラムズホーンなどの種類が有名です。これらの種類は、コケや魚のフンを食べてくれるなど水槽内のお掃除をしてくれるため、必ずしも害しかないとは言い切れません。そのため、飼育者が意図して水槽内に導入していればスネールとは呼ばれないのです。
スネールの被害
前述のとおり、スネールは1~2匹であれば特に目立たず水槽内を掃除してくれるいい子なのですが、爆発的なスピードで増殖してしまえば話は別で、一気に熱帯魚飼育における厄介者となってしまいます。主なスネールによる被害としては、(1)水槽内の景観が損なわれる(2)水草への食害(3)水質の悪化、の3つが挙げられます。
水槽内の景観が損なわれる
本当は熱帯魚や水草で構成された水槽を見たいのに、水槽内が一面巻貝だらけになってしまっては、鑑賞面で大幅なマイナスです。「数匹程度だったら目立たないから…」と思っていても、前述の通りスネールは繁殖のスピードがとても早いため、少し放っておくだけで「熱帯魚よりスネールが主役の水槽になっている」なんてこともありえます。中でも、巻貝に対し生理的に嫌悪感を覚える人にとっては、たまらなく嫌な見た目になります。
水草への食害
巻貝は見た目からもわかるとおり植物食です。はじめは水槽のガラス面についたコケなどを食べますが、数が増えればコケだけでは食事が足りなくなり、水槽内にある水草を食べ始めます。
せっかく育てている水草が、みすぼらしい残骸を残すのみとなってしまいます。
水質の悪化
巻貝も生きているので、食べ物を食べるとそれだけ排泄物も出します。水槽内の熱帯魚などの排泄物は最終的に(全てとはいきませんが)バクテリアが無機物に分解してくれることで水質が保たれているのですが、スネールが驚異的なスピードで増殖してしまうと、分解が追いつかずに水質が悪化してしまうのです。
また、彼らの多くは一度ひっくり返ると自力で起き上がることができず、そのまま帰らぬ命となってしまいます。その死骸は水槽内で朽ちていき、水槽内の水質の悪化を加速させていくのです。
このように、意図しないスネールの存在は、そのまま意図しない水質の悪化につながるのです。
スネールの発生原因
巻貝は何もないところから生まれるということはないので、どこかから運ばれてくることで発生します。その多くは、ショップで買ってきた水草や流木です。
水草の根や流木の奥などに、巻貝の卵が付着しており、それが孵化して最初の巻貝が発生するのです。ちなみに彼らは雌雄同体のため、2匹いればそこからどんどん繁殖します。
また水草ほど多くはありませんが、熱帯魚を購入した際、購入先の水槽にスネールが存在しているとその稚貝が魚のひれなどに付着していることもあります。
スネールの駆除方法
専用の薬を使用する
水槽内に発生しているスネールに効果的な駆除剤を使用する方法です。
種類によってはエビに害を及ぼすものもあるので使用前に必ず使用方法と注意書きを確認しましょう。
またほぼ全ての駆除剤が貝類全般に効果があるものなのでスネール以外に意図的に飼育している貝類がいる場合は、必ず使用前に別の水槽などに避難させておきましょう。
スネールを食べてくれる熱帯魚を導入する
スネールイーターと呼ばれる、貝殻を食べる熱帯魚の導入を検討するのも一つの手です。導入前には先住の熱帯魚との混泳は可能かを確認しておきましょう。
バジス・バジス(別名:カメレオンフィッシュ)
スネールイーターの一例
- バジス・バジス(おすすめ ただしエビも食べる)
- アベニーパファー(性格が荒い)
- オトシンクルス(小型の稚貝しか食べない)
手で直接取り除く
自分の手で直接スネールを取り除くのも方法としてあります。しかし、手間が非常にかかってしまうため、あまりオススメではありません。
そもそも水槽内に入れないように努力する
駆除方法を解説しましたが、スネールの発生を防ぐために最も重要なことはそもそもスネールを水槽内に入れないようにすることです。
まずは水草や流木を購入して水槽に入れる前に、卵が付着していないかチェックし、その都度取り除くようにしましょう。卵は半透明のジェルのように見えます。事前に水草や流木を熱めのお湯(65度くらい)で、20秒程度洗うことも効果があります。
また、「組織培養水草」とよばれる水草を使用するのも効果的です。組織培養された水草は無菌状態で管理されており、スネールなどの混入がないため安心して水槽内に導入することが出来ます。
最終的には根絶をあきらめ、水槽のリセットを行う飼育者も多数いるのが現実です。事後的な対策は限界があるので、水槽への流入を食い止めることに主眼を置きましょう。